動物写真家・岩合光昭さんの写真展「ネコライオン」が福岡三越で開催中(8月8日~21日)ですが、今日は岩合さん本人が会場のギャラリーでトークをするというので行ってきました。
会場には岩合さんが撮りためたネコとライオンの作品約200点が展示され、屋根や木に飛び乗ったり、母親が子どもを世話したりするなど、同じしぐさ、光景の写真がネコとライオン、それぞれ対で並べられています。人間の生活にとけこむように暮らしているねこ、「百獣の王」と言われ野生に生きるライオン。でも、岩合さんが見つめたそれぞれの素顔は、大きさも生活環境も違うけれど、かなり似ているんだなあと企画展ならではの新鮮な発見がありました。
朝11時前に行ったのですが、会場はたくさんの人でごったがえし身動きもできないほど。岩合さんのギャラリートークには、ざっと数えて200人以上が立ち見で話を聞くという人気ぶり。
岩合さんは集まった大勢の人たちを前に開口一番、「ほんと、いいこだね~」。このセリフは岩合さんがNHKの「世界ネコ歩き」でねこの撮影をするとき、決まってねこに話しかける優しい言葉。「番組のディレクターも、『今年は流行語大賞をもらえるんじゃないか』って(笑)」といい、会場の笑いを誘っていました。
10月21日には初の「劇場版 世界ネコ歩き」も公開予定とのこと。津軽のねこ家族を中心に、世界6カ国のねこたちの生きる姿を再編集し、テレビでは放送されなかった未公開シーンもふんだんに盛り込まれているそうです。
岩合さんの生トークで印象に残ったのはこんなエピソードでした。今回の写真展にはありませんでしたが、雄のホワイトライオンの写真を展示したある展示会でのこと。「その写真を前に、ご婦人がハンカチで目頭をおさえておられて。どうかされました?と聞いたら、『写真で感動したことなんてないのに、この写真見てたら涙が出てきたのよ』とおっしゃってたんです。やっぱりそれだけの力が一枚の写真にはあると思います。ひょっとしたら人の人生を変えてしまうことがあるかもしれません。そのために僕たち写真家は努力していると思うんです」
最後には「いつも写真展をやって嬉しいなと思うのは、会場の外に出たお客様がすごい笑顔で出てこられること。そんな姿を見ると、いつもやってよかったなって思います」と語り、30分間のトークショーを締めくくった岩合さん。入場料たった500円でかなり楽しめて、刺激も受けて帰ってきたのでした。